- 親族の借金や税金滞納の対処法は相続放棄!
- 相続放棄は家庭裁判所に書類を出す
- 「相続放棄は3カ月以内」の注意点
- 相続放棄するときにやってはいけないこと
- 相続放棄後の管理責任(民法940条)を回避する
- まとめ:相続放棄の申述をする、それ以外はやったらダメ!
親族の借金や税金滞納の対処法は相続放棄!
相続放棄とは、遺産を相続するはずの相続人が相続しないという選択をすること。
相続放棄すると預貯金などの資産が相続できなくなるが、借金や滞納税金などの負債を相続せずに済む。
相続放棄の手続き方法や必要書類は?相続放棄すべきケースや注意点も解説:朝日新聞デジタル
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相続放棄は家庭裁判所に書類を出す
相続放棄は、被相続人が死亡したときの住所地の家庭裁判所に申述書を提出する必要がある。
必要書類
- 相続放棄の申述書(家庭裁判所のホームページからダウンロードできる)
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 申述人(自分)の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 切手
- 収入印紙(800円)
照会書を返送する
- 相続放棄の書類を提出すると、家庭裁判所から照会書が送られてくる
- その照会書に付いている回答書に記入して送り返す
- 回答書の内容は、相続放棄をする理由、相続放棄をする意思は変わらないか、被相続人の死亡を知った日がいつかなど
相続放棄の通知書と証明書
- 相続放棄の手続きが完了すると相続放棄申述受理通知書が送られてくる
- 債権者から借金返済の請求を受けた場合、相続放棄したことを証明する必要がある
- この場合、相続放棄を受理した裁判所に相続放棄申述受理証明書を請求する
- 必要に応じて債権者に相続放棄申述受理証明書のコピーまたは原本を渡す
戸籍謄本等の広域交付制度
- 本籍地以外の市町村窓口でも戸籍証明書が請求できる
- 必要な戸籍が全国各地にあっても、最寄の市町村窓口でまとめて請求できる
- 広域交付制度は窓口での請求のみ可能(郵送や代理人による請求は不可)
画像出典:法務省
法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
「相続放棄は3カ月以内」の注意点
相続放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」(民法915条)となっている。
この3か月を熟慮期間という。
熟慮期間の起算点、いつから3か月なのか
被相続人が死亡した日から3か月ではない。
被相続人が死亡したことを知った日から3か月でもない。
相続開始原因と自分が相続人であることを知った時から3か月である。
1. 相続開始原因:被相続人が死亡したこと
2. 自分が相続人であること:他の相続人がいない等で自分が相続人であること
上記の2点、被相続人の死亡を知っただけではなく、それによって自分が相続人であることを知った日から3か月以内となる。
具体的には、借金や滞納税金の督促などが届いた日から3か月以内に相続放棄を申述しなくてはならない。
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相続放棄するときにやってはいけないこと
- 相続財産の処分、自宅や車の売却、携帯電話や賃貸の解約、遺品整理
- 相続財産の使い込み、預貯金の払い戻し
- 遺産分割協議に参加 など
↑ ↑ ↑
やったらダメ!
単純承認とみなされることをしない!
相続放棄ができなくなる「単純承認事由」とは|松谷司法書士事務所
相続放棄後の管理責任(民法940条)を回避する
(相続の放棄をした者による管理)第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
「財産を現に占有しているとき」だけ管理義務が生じる。
つまり相続放棄の時点で、不動産なら居住していないなら管理義務はない。
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まとめ:相続放棄の申述をする、それ以外はやったらダメ!
- 相続放棄で遺産の相続を拒否できる
- 相続放棄の書類は被相続人が死亡したときの住所地の家庭裁判所に出す
- 相続放棄の申述は自分が相続人であることを知ってから3か月以内に行う
- 単純承認に当たる行為(遺品整理など)をやってはいけない
- 相続放棄の時点で被相続人の財産を占有していない状態にして管理義務を回避する